3rd
四 各写真集等についての認定
1 「Bel Ange(ベル・アージュ)可憐な天使写真集」
ヨーロッパ風の建物内で、ヨーロッパ系と思われる少女(六歳、八歳程度)を写した写真集である。
全八〇頁(表紙を除く。以下同じ)中、全裸写真が約二〇頁を占める上、その他も下着姿(パンツのみを着用した写真や下着をはだけて胸部を見せているような写真もある。)などである。特に扇情的なポーズをとった写真や性器を強調するような写真はなく、性器にはぼかしが入っているものの、着衣の一部をことさらにめくって肌を露出した写真や臀部や胸部を大きく写した写真がある。また、衣服を着用するのが通常である居室などにおいて少女の裸体を撮影し、ベッドの上でことさらに下着の一部を着けていない姿を撮影しているが、このような写真を撮影する必然性ないし合理性も認められず、性欲を興奮又は刺激するのに十分な内容である。
写真集全体の構成を見ても、前記のとおりヌード写真ばかりであり、さらに、表紙には「ユーロ美少女たちの青くみずみずしいプライベートヌード」とうたって、ヌード写真であることを売りにしているものであって、芸術性等が性的刺激を緩和するとは認められない。
2 「美少女ヌード写真集 おともだち 理恵と亜由香」
六から八歳の少女と他一名の少女の写真集である。
全六四頁中、裸体等の写真が約二七頁を占めている上、その他も上半身が体操着で、下半身に下着だけを着用していたり、スクール水着をめくって、胸部を見せたり、体を布にくるんで、裸体を想像させるような写真である。そして、少女があえぐような表情をしたり、性器自体はぼかしているものの、足を開かせて性器が写真に収まるようなポーズをとらせており、扇情的な表現が認められる。性欲を興奮又は刺激するに十分な内容である。
なお、右のように扇情的な表現を用いていること、表紙に「美少女ヌード写真集」と記載して、ヌードを売りにしていることからすると、特に性的刺激を緩和する表現は認められない。
3 「ロリコンハウス6月号通巻第7号」
グラビア、漫画、文章による記事からなる雑誌であり、グラビアに、六から八歳の少女が入浴している写真と四から七歳の少女の全裸写真がある。
全一七八頁中、乳首等を撮すなどした裸体等の写真が約二一頁を占める。全体に占める裸体等の写真の比率は比較的少ないが、枚数自体は多い。裸体等の写真部分のみがカラー頁となっており、雑誌の冒頭に掲載するなど、当該雑誌の中心を占めるといってよい。また、風呂内でポーズをとっていたり、エプロンのみを着けた少女が喫茶店の店員として登場する場面があるが、そのような演出をする必然性はなく、扇情的効果のある表現と認められ、性欲を興奮又は刺激するに十分な内容である。
また、写真にせりふをつけて漫画形式にした読み物があるが、ストーリーの展開上、少女に着替えをさせて少女の裸体等を見せる必要は認められない。なお、当該雑誌の他の記事は、少女との性交、性交類似行為に関する記事、少女を誘う方法を教示する記事などであり、表紙に「世界一のロリコン専門誌」と記載して、ロリコン趣味の人の興味を引くような体裁であって、澁澤龍彦の少女に関する文学作品を紹介する記事があるが、ごく一部に過ぎず、性的刺激を緩和するに至っていない。
4 「ロリコンハウス6月号通巻第13号」
3と同様の雑誌であり、一〇から一四歳の少女が着衣の一部を脱いだ写真と一四から一八歳の少女が入浴している場面の写真グラビアがある。
全一七八頁中、乳首や臀部が映った裸体等の写真は約二一頁を占める。全体に占める裸体等の写真の比率は比較的少ないが、枚数自体は少なくない。
裸体等の写真部分のみがカラー頁となっており、雑誌の冒頭に掲載するなど、当該雑誌の中心を占めるといってよい。表現方法を見ても、ことさらに乳首が見えるように着衣をめくったり、臀部を強調するような写真があり、演出も、裸体に泡をつけたり、シャワーを使ったりする必然性がなく、ガラスに向かってキスをするなど扇情的な部分がある。性欲を興奮又は刺激するに十分である。
なお、当該雑誌の他の記事は、少女との性交に関する記事、少女との性交場面がある漫画等であり、表紙に「世界一のロリコン専門誌」と記載して、ロリコン趣味の人の興味を引くような体裁であって、エドガー・アラン・ポーと少女の関係についての文学評論等があるが、ごく一部に過ぎず、性的刺激を緩和するに至っていない。
5 「MAGIC BEAUTYくりぃむれもん」
四から七歳の少女の写真集である。
全三八頁中(ただし、切り取って使用する部分を除く。)、全裸写真が約九頁あり、その他もヌード写真ばかりである。
性器部分は黒く塗潰されており、着衣をまとっている写真もあるが、着衣は透けて見える生地を使っている。少女がアイシャドーや口紅を濃く塗って化粧をして、ワイングラスを持っているなどの演出をしているが、前記のとおり、全裸写真などが写真集の中心を占めていることに照らせば、成人女性をカリカチュアするなどの特段の意味のある表現とはいえず、扇情的効果を狙っているものと認められる。また、着衣の一部を脱いで性器や乳首を覗かせたり、少女が流し目をしたり、臀部を強調するような写真があり、中には性器が見えるように股を若干開いたポーズをとったものもある。表現方法は明らかに扇情的であって、性欲を興奮又は刺激するに十分な内容である。
表紙に、全裸の少女の写真を掲載した上、ロリータ写真集と記載して、ロリコン趣味の人の興味を引くような体裁であって、特に性的刺激を緩和する表現は認められない。
6 「NEW FACE」
二から六歳の少女の写真集である。
全五六頁中、約三七頁以上が全裸である。その他も、透けて見える生地を体にまとったようなヌード写真に準ずるものである。陰部は黒く塗潰してあるものの、乳首等は写っている。
また、股を開いて性器が見えるようなポーズをとったり、体の線を示すように上体を反らせたり、臀部を強調するように腰をひねったような写真がある。バドミントンのラケットを持っている写真があるが、全裸でラケットを持っている姿を写真に撮る必然性は認められない。描写方法も性的関心を引くようなものと認められ、性欲を興奮又は刺激するに十分な内容である。
なお、随所にゲーテやリルケ等の詩を引用しており、一部に写真の内容に沿う詩も引用されているが、写真との関連性は薄く、こじつけといえるもので、表現の主要部分は前記写真であることが明らかである。また、表紙に、全裸の少女の写真を掲載した上、「ロリータ写真集」と記載して、ロリコン趣味の人の興味を引くような体裁であって、特に性的刺激を緩和するような表現は見あたらない。
7 「少女の夢。」
ヨーロッパ風の田園風景や邸宅内等で、六から八歳、七から一〇歳、一〇から一二歳等のヨーロッパ系と思われる少女を撮影した写真集である。
全一一二頁中、約七五頁が全裸写真であり、性器が写っていたり、乳首が写っているものが多い。全裸でなくとも、下半身が裸であったり、着替えをする場面など裸体等の写真がほとんどを占める。
性交を暗示させるような扇情的なポーズをことさらにとらせた写真は見当たらないものの、田園風景のもとで裸体等になったり、邸宅内の台所や応接室、ピアノや絵画の前などで通常裸体等になる必然性は認められない。さらに、着衣の一部をめくる姿など性器等が見えるような構図が多い上、逆立ちをしたり、股を若干開くなどして、ことさらに性器が見えるようにしたポーズや、真下から脚部と性器のみが見えるように撮影している場面があり、性欲を興奮又は刺激するに十分である。
なお、各少女について説明文がついているが、特別に意味があるようなものでなく、また、表紙に全裸の写真を掲載し、ヌード写真集であることが一見して分かる体裁であり、性的刺激を緩和する表現は特に認められない。
8 「純少女」
前記「MAGIC BEAUTYくりぃむれもん」とほぼ同一内容の写真集である。
全四八頁中、約一五頁が全裸であり、全裸でない写真でも性器が写っている写真が多い。性器をぼかしたりせず、そのまま掲載されている写真すらあり、「MAGIC BEAUTYくりぃむれもん」よりも性欲を興奮又は刺激するに十分な内容である。
そして、表紙に、全裸の少女の写真を掲載した上、美少女ロリータ写真集と記載して、ロリコン趣味の人の興味を引くような体裁であって、性的刺激を緩和するような表現は特に認められない。
9 「のぞき屋1・2・3・4」
五から七歳と六から八歳の東南アジア系と思われる少女が、全裸でフリスビーをする場面等が撮影されているビデオである。
フリスビー場面は約一〇分間と比較的長く、児童の乳首や性器が映っている場面がある。児童には特に演技をさせている様子は認められないが、少女が自発的に全裸でフリスビーをするとは到底考えられない。臀部をアップにした場面があり、アップでなく、また短時間ではあるが、性器が見える場面が何度も登場し、フリスビー自体の動きとは関係なく、胸部や臀部を撮影し、ときには臀部や陰部が見えるように下方から撮影したり(なお、性器をモザイクでぼかしたりしていない。)、なかには、一分以上にわたって臀部や脚部を撮している場面があり、表現方法に性器等を強調する傾向が窺える。性欲を興奮又は刺激する内容といえる。
全裸でフリスビーをする表現上の必然性は認められない上に、同場面の前後には、児童の着替え、水浴び、滑り台で遊ぶ少女の下着などを盗み撮りした場面が脈絡なく延々と続いており、児童の健全な発育を記録するようなものとは到底認め難く、性的刺激を緩和するような表現は全く認められない。